2020年、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)によってパンデミックが発生し10月現在で世界の死者数が100万人を越えました。長期的な生活への影響によって人に与えるストレスや正常性バイアスといった心理を実感として感じていますが、これもまた途中経過であり過去の例を見れば数年はかかるであろうことは予測できます。ただし、よく比較されるスペイン風邪が流行した1920年頃と現在とでは地球の気温は大きく異なります。

上記グラフはコロンビア大学ジェームズ・ハンセン博士の研究資料です。地球温暖化によるリスクをここでは書きませんが1920年とでは環境が異なることは容易に理解できます。世界人口は当時の4倍に増加し、渡航人数などは比較しようがないほど違うこともパンデミックの要因と言えるでしょう。

昨日アメリカ大統領が感染したことが報道されました。まるで映画のような話ですが大統領選挙目前で現大統領が感染し選挙に影響を及ぼす。フランスのパリも再びの感染状況悪化で翌週から全面封鎖予定。そんな中でも日本は『新型コロナ収束後の観光需要喚起経済対策』として官民一体での「go toキャンペーン」を開始。予算として経済産業省に1兆6794億円を計上し、内閣官房、経産省、国土交通省、農林水産省が連携して取り組む。これで助かるという声もあれば、これでまたコロナが広がるという不安の声も聞こえますが、どちらが正解という話ではなく社会を継続させるという使命のもとでの政府判断です。

コロナ禍で先にシーズンを迎えた南半球のスキー場(そもそも日本のスキー場とは運営スタイルが違うので比較は難しいのですが)では極めて厳しい経営状況となりました。オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチンでは海外からの渡航規制があったので海外からのスキー客というものがほぼゼロな状況で、海外資本の大リゾート会社が運営するスキー場ほどスキー場のある地元の公的な対策に準じた印象もありユーザーだけでなく労働者の安全のために最もセーフティーな「営業しない」という判断をしました。逆に営業したニュージーランドのスキー場では極端に人が殺到してしまうという問題も発生しました。そもそもニュージーランドはスキー場の数が少なく、早期からの全面封鎖でコロナの封じ込めに成功したということも影響します。

日本のスキー場はどうするのか?という経営判断のタイミングで政府が「go toキャンペーン」を打ち出してくれたことは大きな後押しとなり、前半は雪不足、後半はコロナで最悪の状況であった昨シーズンから今季はなんとか持ち直したいところに3年ぶりの「ラニーニャ現象(雪が多い)」の情報が気象庁から出てスノー業界は期待感に胸を膨らませています。10月現在ではシーズンパスや早割チケットなどの販売時期ですが、まだ具体的なコロナ禍での運営方法についての詳細情報は少なく、オーストラリアのように前日までの予約が必須なのか?リフトの稼働本数やゴンドラの稼働はどうなるのか?レストハウスの使用条件などはあるのか?といったことは未定。go to キャンペーンの中身は複雑で情報も混乱していますが「星野リゾート アルツ磐梯」が1日ぶんの宿泊とシーズンパスをセットにしてgo toトラベルを利用できるという驚きのプランを発表しました。

『大人のシーズン券の場合、通常35,000円のところ、磐梯山温泉ホテル平日1泊とシーズン券のセットプランが、GoToトラベル適用で最安29,500円!!
さらに、ホテルでの夕朝食やスキー場でのお買い物にも使える地域共通クーポンが6,000円分もついてくるので、実質23,500円!』 ~公式サイトより~

さすが星野!素晴らしい戦略だと思います。最優先は「とにかくスキー場に来ていただく」に全力を注ぐこと。インバウンドが消えてバスツアーも大幅に減る中でどうやって集客するか?大きな視点で見れば、そもそも日本にはスキー場が多過ぎるので数を減らしたほうが良いとか雇用促進とはいえ補助金に頼り過ぎだとか個人的に思う部分はありますが、まず今季は非常事態に対する経営対策ができる企業であることを示すことや、足を運んでくれたお客さんから「ありゃダメだ」とSNSで言われないコロナ対策を行うこと。街中の食事処を見ても対策の差は随分違うなと感じます。いつもの倍の努力をして、いつもの半分の売り上げになったら良し!くらいの気持ちで。それができないところは本当に厳しい。3セクだって同じですよ。地方議員が幅を利かせていても、そんな時代は続かない。

あまり厳しいことを書くと怒られそうですが、私もスノー業界に身を置く者ですから気持ちは同じ。ずっとずっと先の未来にも日本の冬には雪が降って、スキー場に遊びに行って・・・という当たり前が続きますように。