↑ メーカーカタログより

このブーツはスゴイんです。言葉で説明が難しいので図解しますと普通のブーツというのはアウターのつま先上部分とタンの先端を縫製します。

当たり前過ぎて、この構造に疑問すら感じていませんでした。しかしココを縫製するということは・・・

ココがアウター・タンを動かす際の「支点」になります。脱ぐときはガバッと起こして、履くときはグイッと足に添わせる。

ここで見落としがちなのが、足が細い方の場合タンは足側に倒れてタン上部が主に接する形になる。

逆に足が太い場合はタンが起きるのでタン下部が主に接するようになる。もちろん、こういうことを想定したタンの成型角度で対応範囲が広くできるよう作られてはいます。しかし・・・

この支点を固定せずに間に布を入れる!たかがそれだけのことで何が起きると思いますか?

こんなタンの位置を見たことがありますか?見た瞬間に「このブーツ壊れてね?」と思う違和感。支点がフリーなのでインナーを抜いてタンをグイッと下に押してみると、このくらい下がっちゃいます。構造名は「フローティング・タン」と言います。

もう一度言いますが、たかがそれだけのことでアウター・タンというブーツの剛性やフィッティングにおいて極めて重要な部分が足の太さに関係なく完璧にピタッと欲しい場所に、あるべき場所にフィットするわけです。ゴイスーです。思いついた人に拍手したい。

ただし、ここをフレキシブルにするということの問題点が「雪入るんじゃね?」問題。タンの足首下部は雪が入らないように通常はサイドにも防雪の布が付いているので、この布を縫製したらせっかく「自由」な動きの邪魔になる。そこでファスナーが付いたカバーを外側に設けて雪の進入を防いでいます。これは冬季用の登山靴に見られる構造です。

他にも’92の特徴をご紹介しておきますと、あまり見かけなくなった「ラップインナー」を採用しています。ラップインナーというのは

足をグルッと包む(ラップ)ような形をしたインナーです。タンが別体ではないのでホールド性に優れます。

アウタータンが「スライムタン」という名称のウレタン素材。このスライムタンが驚きの効果を生んでいるのですが、一般的にブーツは「硬い」「柔らかい」で表現されますが、’92は膝を曲げると柔らかいというよりは「しなやか」な感じ。そこまでは驚かないのですが、曲げた膝は当然戻しますよね?そのときの戻り方が普通のブーツと違う。グイッとブーツが戻してくる。最初「?」という感じで何か自分の膝がおかしいのか?と思いましたが膝を曲げたときのブーツの剛性感に対して、(ブーツが)押し戻してくる力が強い。このスゴさが伝わるかなぁ?

で、その動きを助けているのが背面側のこの部分。頑丈なのもアリガタイ。だいたいブーツの後ろ面がバインと干渉して破損しちゃうことが多いので。

ソールはミシュランです。ムッシュ・ビバンダムさんが手を振っています。足裏の薄さはたぶんNo.1だと思います。足裏感覚ウンヌン言う人は一度履いてみるべきでしょう。

販売価格は55000円(税別)になります。サイズ展開は25cm~。QUESTでも販売(現在は予約受付中)しておりますので、よろしくどーぞ。

ズゴックは付きません。