BOAが3つ(アウター上部・下部、インナー)装備のハイエンドモデル。昔からK2は板にしてもブーツにしても最上位モデルは「こんなんできますけど何か?」的な製造技術を見せつけてくれるのが楽しい。
BOAワイヤーの通し方で、一番下ワイヤー通し部分とBOAダイヤルの間に3個の位置固定パーツがありますよね?つま先付近はそれほど締める必要がないからワイヤーの間隔が広くて、足首が曲がる部分はホールド性を高めるために間隔を狭くする。ちなみに靴紐も同じですが、左右のパネルを紐を使って締める(近づける)場合には紐の角度を15度以下に抑えると効率的。いかに少ないパーツで15度以下にするか?で完成されたのが今の形。
着脱の容易さなどを無視してフィット感(ホールド感)を追求したら、アイススケートの靴みたいになるわけです。そもそもBOAを開発した方はお子さんがスケート靴の紐を締めているのを見て「こんなん大変だろ?」と思ってBOAを作ったらしいです。器用な父ちゃんだなと思ったら外科のドクターだそうで。
21-22モデルでの大きな変更点としてインナータンにマジックテープが付きました。ベルト状のベルクロは元々付いていたのですが、滑っているとインナータンが左右に捻じれて(回る)しまうという声があり、インナータンの両サイドにマジックテープを装着したことで解決。ちなみにTHRAXISよりも下位グレードのブーツはベルクロ無しで、インナータンにマジックテープ固定なので、なぜ今までTHRAXISには無かったのか?と聞かれると困る・・・。
インナーの↑ココにゴムベルトが付きました。このベルトの役割はインナーのホールドうんぬんでなく、K2のブーツ構造で特徴的な”BOA CONDA”と呼ばれるインナーとアウターの間に入るパーツでカカトを浮かないようにするのですが、このパーツの「当たり方」が微妙で片側がインナーの中に入ってしまったり、気にせずに締め込んでいたらパーツが変形していたなどの問題がありました。
↑これが”BOA CONDA”。そういう問題をクリアするために「インナーにベルト付ければ大丈夫じゃね?」と超簡単な解決策ができたわけです。CONDAの素材や形状など毎年苦労を重ねてきたのに・・・難しく考え過ぎちゃダメなんだなぁ・・・。
白い帯状の補強パーツが付きました。インナーも「折れクセ」が付くと急にフレックスが弱くなりますからね。THRAXISはココが折れやすかったもんなぁ。
サイドが補強されたので、当然それを支えるバックパネル(カカト周りから背面全体)も随分と補強されました。痛みやすい部分なのでアリガタイ。「デュラブル」ってやつですね。
これは前モデルからの継続ですが「スペースヒーター」という体温反射パネルが使われていて足が冷えづらいです。銀色のアレです。
アウターのバックパネルも頑丈です。ココがバインと擦れて痛みやすいんですよね。ソールのゴム部分は削れやすいので定期的にチェックされたほうが良いです。補修する場合はホームセンターや靴屋で売ってるカカト補修剤でOKです。写真を撮り忘れましたが、THRAXISのソールは登山される方にはお馴染みのビブラムソールです。
アウター下部のBOAを開放すると↑このようにココが開きます。インナーBOAのおかげで、アウターを緩めてもカカト浮きは起こらないのでフレックスを自在に設定できるのがTHRAXIS最大の特徴。アウター上部を緩めた場合と、下部を緩めた場合とでフレックスのフィーリングが変わります。バインディングのアンクルストラップとのマッチングもあるので、滑りながら自分の好みを探す楽しみがあります。本当に懐の深いブーツですのでジックリ付き合ってみていただきたい。
K2 THRAXIS 販売価格 58000円(税別)。サイズ展開は 25cm~(以下サイズはすでにメーカー完売)。QUESTでも販売(現在は予約受付中)しておりますので、よろしくどーぞ。
ズゴックは付きません。